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なぜ、結婚相談所という選択肢は時間を無駄にするのか?

婚活を失敗に導く、7つの構造的欠陥

はじめに:解くべき「問い」は、そこではない

「結婚相談所に入れば、プロがなんとかしてくれる」「ここが最後の砦だ」— そう考える人は少なくない。

しかし、まず一つの事実を直視する必要がある。 経済産業省の調査によれば、結婚相談所の顧客満足度はわずか10%である[1]

結婚相談所の顧客満足度は、わずか10%

円グラフ。「満足」と「不満足」の割合を示しており、満足度が10%であることを示している。

出典:経済通産省「1.少子化時代の結婚関連産業の在り方に関する調査研究報告書」

なぜ9割もの人が「期待外れ」と感じるのか。これは、個々のアドバイザーの能力や相性の問題ではない。

問題の根源は、システムそのものが抱える「構造的欠陥」にあるのだ。 であるならば、本当に向き合うべき「問い」は、「どの相談所が良いか?」という比較検討ではない。

この記事では、婚活を停滞させる、その構造的な課題を解き明かす。

なぜ、結婚相談所では努力が空転するのか ― 7つの構造的欠陥

多くの利用者が感じる不満の正体を、構造的に分解する。問題は個人の努力不足ではなく、戦う「戦場」そのものに、以下の構造的な欠陥があるからだ。

構造的欠陥①:出会いの「可能性」が、構造的に著しく低い

結婚相手と出会った場所として、ネット系サービスが結婚相談所を圧倒しているのは、最新の調査が示す通りである。出会える母集団が、数百万人が利用する主要マッチングアプリの100分の1以下しか存在しないのだ。 さらに深刻なのは、その限られた会員の中で、より厳しい選別が行われるという事実である。

経済産業省の調査によれば、結婚相談所に登録する女性は、一般の未婚女性より相手への希望条件(年齢や年収)が厳しくなる傾向にある1。これは、「100分の1の広さ」のプールで、かつ「極めて高いハードル」が設置された、二重に不利な状況で戦うことを意味する。

構造的欠陥②:「真剣さ」が、逆に成婚を遠ざける

「結婚に真剣な人しかいないから成婚しやすい」と結婚相談所は謳う。しかし、その「真剣さ」こそが、皮肉にも成婚を遠ざける要因となっている。前述のとおり、女性は結婚に真剣になればなるほど、相手に求める条件が厳しくなるのだ[1]

これだけ「真剣」な者が集まっていながら、経済通産省の調査によると、成婚率が1割以下。低水準に留まるのは、これが構造的欠陥である何よりの証左である。

構造的欠陥③:担当者は「仲介の事務員」であり、「コンサルタント」ではない

結婚相談所の担当者の主業務は、お見合いのセッティングやシステムの使い方を案内する「事務手続き」である。会員の利点と弱点を婚活と女性視点から客観的に分析し、ライバルとの差別化を図り、勝利への道筋を描く「コンサルタント」ではない。彼らは親切な案内役かもしれないが、人生を賭けた戦いの参謀にはなり得ない。

構造的欠陥④:会員の価値を高めず、「現状のまま」で戦わせる

担当者という「人によるサポート」に高い料金を支払っていても、その役割は会員の魅力そのものを高めることではない。彼らは、現状のまま、限られた母集団の中で活動を管理する『オペレーター』に過ぎない。魅力をレベルアップさせることなく現状維持のまま戦わせる。これは、投下した投資(時間と金)に対する、構造的なリターンの欠如と言えるだろう。

構造的欠陥⑤:「誰にでも当てはまる一般論」しか提供できない

結婚相談所は、20代からシニアまで、あらゆる層に総花的に対応する。そのため、アンチエイジングや「同年代の未婚女性が減少し、需給ギャップが生まれる」という40代固有の課題に対し、それを乗り越えるための具体的な戦略や施策を提示する、といった専門性は持ち合わせていない。

構造的欠陥⑥:提供価値と価格が釣り合っていない

現代の婚活の主戦場は、テクノロジーを活用した低コストなマッチングアプリである。結婚相談所は、そのプラットフォームに「担当者によるサポート」という一つの機能を付加することで、何十倍もの価格を設定する。

では、その唯一の差別化要因である『サポート』には、弁護士のような国家資格を持つ専門家と同等の価値があるのか。一般論に終始するそのアドバイスの費用対効果を、冷静に分析する必要がある。

構造的欠陥⑦:時代遅れの「安全神話」に依存している

「相談所は身元が保証されていて安全だ」という主張は、20年前の認識である。現代の主要マッチングアプリは、公的証明書による本人確認や24時間監視が標準装備となり、社会インフラとして成熟した。

むしろ、本当に問われるべきは、結婚相談所そのものの信頼性だ。

事実、過去には結婚相談所を舞台にした詐欺事件も起きており、説明と異なる高額な料金請求といったトラブルが国民生活センターに数多く寄せられ、法律でクーリングオフの対象とされている現実がある。

なにより根深い問題 ― 彼らが「解いていない」2つの本質的な課題

先の欠陥は、実はより深刻な2つの問題から派生した「症状」に過ぎない。結婚相談所というビジネスモデルが、構造的に解くことを放棄している、2つの本質的な課題を見ていこう。

本質的な課題①:「成婚」の定義が、利用者のゴールとズレている

彼らにとっての「成婚」とは、会員同士が「結婚を前提に交際します」と合意した時点を指す。一般の感覚ではスタートラインに過ぎないこの段階をゴールと定義し、高額な成功報酬を得るための「課金ポイント」として扱うのだ。

本来、最も専門的なサポートを必要とするのはこの段階以降のはずだが、彼らは自社の利益確定という都合から、「成婚退会」という美名のもと、サポートの対象外とするのである。これは、顧客とのゴール設定における、致命的なズレであろう。

本質的な課題②:問題の真因に踏み込まない、「気休めの処方箋」

「聞き上手になりましょう」「デートを楽しむことが大切です」といった一般論では、現実は何も変わらない。なぜなら、問題の真因は、本人も気づいていない「無意識の思考パターン」にあるからだ。

我々のコンサル手法である「会話ログ分析」のように、実際のデート会話を録音・文字化し、客観的な事実に基づいて根本原因を特定するといった、データドリブンなアプローチを彼らは提供しない。

まとめ:本当に向き合うべき「本質的な課題」

選ぶべきは、単なるサービスではない。問題解決への「アプローチ」そのものである。

向き合うべきでない、質の低い問い】:

  • どの結婚相談所が、一番マシだろうか?

【本当に向き合うべき、本質的な問い】:

  • 婚活が停滞している根本原因を、客観的な事実に基づいて特定し、ゴールである「入籍」まで伴走してくれる、本物のパートナーは誰なのか?


この「問い」の設定ができた瞬間、婚活は、暗闇の消耗戦から、出口の見える論理的なプロジェクトへと変わる。

次のステップ:

自身の「現在地」を診断する 我々のコンサルティングは、あなたの現状を正確に診断することから始まる。

もし、自身の課題を構造的に理解し、次の一歩を明確にしたいと考えるなら、まずはオンライン相談で「戦略会議」を検討することをお勧めする。


出典:

[1] 経済産業省「少子化時代の結婚関連産業の動向」(2006年5月)