【ファクトチェック】40代婚活の言説を徹底検証
「年の差婚は激増」「若い女性もOK」は本当か?
はじめに:氾濫する情報の中から「真実」を抽出する
「年の差婚ブーム」「40代でもモテる」――希望を煽る言説と、「40代は厳しい」という現実。40代の婚活市場には、正反対のメッセージが混在し、多くの方が「一体、どちらが真実なのか?」と混乱している。
この記事の目的は、それらの主要な言説を取り上げ、信頼できる調査データを基に、その真偽を客観的に検証する「ファクトチェック・レポート」である。 本稿では、以下の3つの主要な言説を検証する。
検証①:「40代男性と20代女性の年の差婚は、10年で3倍に激増している」
- 【言説】一部メディアで、「40代男性と20代女性の年の差婚が激増し、全体の割合が5年で3倍になった」という、40代男性にとって希望に満ちたニュースが拡散された。
- 【判定】完全な誤り(False)
- 【根拠データ】最も信頼性の高い厚生労働省の「人口動態調査」によれば、40代男性が20代の女性と結婚した割合は、2015年時点で12.1%、2020年時点でも11.3%と、過去5年以上にわたり完全に安定している[1]。
この言説の発生源は、ごく小規模な都内の結婚相談所が自社会員の成婚実績を調査した結果であり、日本全体のトレンドを示すものではない。
検証②:「20代女性の約3割は、40代男性も結婚対象として見ている」
- 【言説】次に、「若い女性も、40代男性を結婚相手として許容している」という、多くの男性にとって希望となる言説を検証する。
- 【判定】真実だが、重要な条件付き(True, but with context)
- 【根拠データ】株式会社マクロミルの調査によれば、20代女性の27%が40代の男性を結婚の「許容範囲」として回答しているのは事実である[2]。
ただし、これは「積極的に40代を求めている」わけではなく、あくまで「魅力的ならOK」という条件付きの回答である点に注意が必要だ。その条件として、同調査では年上男性に期待することとして「包容力」「経済力」「落ち着いた雰囲気」が上位に挙げられている。
検証③:「若い女性の7割以上が、40代男性を恋愛対象として見ている」
- 【言説】結婚よりもハードルが低い「恋愛」においては、さらに多くの女性が40代男性を対象と見ている、という言説を検証する。
- 【判定】真実だが、極めて重要な注意点あり(True, but with critical nuance)
- 【根拠データ】養命酒造の調査で、20~30代の独身OLの72%が40代男性を「恋愛対象になる」と回答したことは事実である。
しかし、同調査で「おじさんは好きですか?」というより直接的な問いに対し、「好き」と答えたのはわずか18%。「どちらでもない(人による)」が68%を占めており、無条件に受け入れられているわけではないことが分かる[3]。
そして、その「人による」を判断する最大の基準が「清潔感」であり、実に84%の女性がこれを条件として挙げているのだ。
結論:データが示す、希望と課題の構造
40代婚活の言説をファクトチェック
- 【言説】40代男性と20代女性の年の差婚は、10年で3倍に激増している
- 【ファクト】厚労省データでは、男性が7歳以上年上の婚姻割合は過去10年以上ほぼ横ばい(約15%)で安定している。
- 【言説】「20代女性の約3割は、40代男性も結婚対象として見ている」
- 【ファクト】事実だが、「包容力」「経済力」といった明確な条件付き。積極的に40代を求めているわけではない。
- 【言説】「若い女性の7割以上が、40代男性を恋愛対象として見ている」
- 【ファクト】事実だが、「人による」が約7割を占める。その判断基準として、84%の女性が「清潔感」を挙げている。
ファクトチェックの結果、「年の差婚ブーム」は存在しないものの、「若い女性との接点を持つ可能性」は、データ上ゼロではないことが明らかになった。
しかし、その可能性は、「包容力」や、何よりも「清潔感」といった明確な条件が求められる、極めて限定的なものなものである。 巷の言説に踊らされるのではなく、まずは自身がその条件を満たしているのか、客観的に自己診断することから始めるのが、唯一の合理的な戦略と言える。
次の記事では、多くの40代男性が無意識に陥りがちな「10の思考と行動の罠」を診断する。
→【40代婚活・自己診断】あなたは大丈夫か?“結婚できない男”が陥る10の無意識の罠
出典:
- [1] 厚生労働省「人口動態調査」(2025年6月)
- [2]株式会社マクロミル「20代男性の約3割は結婚相手が10歳年上でも構わない」(2011年8月)
- [3]養命酒製造株式会社「おじさんと未病に関する意識調査」(2009年10月)